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静かなバーのカウンターに佇む姿勢の良い座り姿。

女一人だっていうのに、まるでそれが当たり前みたいな雰囲気。刺々しいオーラを平然と纏う近寄り難いスーツ姿の女性。


その姿を確認してから近付くまでの数メートル。

彼女の横顔がどれだけ久しぶりでもいつもと変わらない事に何故か安心する。



「高見ちゃーん、いつも通り早いねぇ。そして、その仏頂面にも磨きがかかって益々台無しだねー」


わざわざ極上の笑顔を添えて、この真面目くさったスーツの女性に難なく声を掛けた。


「…恐れ入ります」


淡々とした口調、僕を見つけて早速の嫌そうな顔、本当に時間が流れてる事なんて忘れそうな位、変わらない。