ハネノネ 第五章




ハネが、降ってきた。

雪のように白いけれど、融けることはない
花びらのように美しいけれど、決して土に還ることのないそれがもたらした不治の病による世界の終わりは、
小さな少女の手によるものだった。


緑の目を持つ、銀色の長い髪の少女と出会ったのは、単なる偶然にすぎない。

だけど僕は、その偶然が愛しい。



「ナキ…」



数日前に、僕と彼女が出会った場所。


ベタかもしれないが、僕は一番にナキと出会った場所へ駆けつけた。


ナキはあの時と同じように倒れていた。


地面に積もったハネに埋もれながら。




先ほど彼女を空へ持っていった大きな羽根は、背中にない。


出会ったあの日となにもかもが一緒で、少し泣きたくなった。