ケータイ小説 野いちご

ハネノネ

第三章
羽根






ヒカルの病はどんどん進行していった。



俺はヒカルの家でずっとヒカルと一緒に過ごした。

ある日、ヒカルは聞いたこともないほど弱々しい声で「外に出たい」と言い出した。


もう神経が切れてしまって動けないから、俺がおぶって外に連れて行った。


ものすごい痛みで少しだけ生えた羽根が、ヒカルの体で圧迫されて痛かったが、我慢した。


まだ少ししか生えていないのに、生えてきたときの激痛は相当なものだった。


当然だ。

すでに発達してる脊髄から、また新しく骨が形成されたんだ。痛くないわけがない。


ならばヒカルは、ここまで羽根が大きくなるまで、

神経が切れるまで


どれほどの痛みに耐えてきたのだろう。


考えるだけで気が遠くなりそうだ。





外は相変わらずハネが降り注いでいる。


あんなに元気だった女性を、ここまで衰弱させるハネ


俺の大事な人を、奪ってしまうハネ




どうか俺の命も、ヒカルと一緒に奪っていってくれないだろうか



願ったって、もう間に合わないのは十分理解しているけれど、せずにはいられなかった。





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