「お邪魔しま~す」 彼女が暢気にオレの部屋を訪れて、笑みを見せる。 変わらない笑顔。 常ならそれで。 それだけで、満たされていたのに。 いまは、その彼女の笑みに彼の影が重なってオレの胸を黒く澱ませる。 それは偶然、聞いてしまった会話の所為だった。