私は驚いて顔を上げる。

だけど、見えた彼の表情から、

言葉とは違う意味を持っている事が、分かってしまった。


「沙紀ちゃんが、そんな風に思っててくれたなんて知らなかった」

「……」

「嬉しいけど。……ごめん」

「中本さん」

「亜紀さんの妹はキツイ」


……当たり前だ。

元カノ。

しかも、まだ未練のある元カノの妹となんて、お試しでも付き合えるはずなんかない。


「わかって、ます」

「いつから?」

「え?」

「だって。沙紀ちゃんとはしばらく話もしてない。
もしかして、亜紀さんと付き合ってた頃から?」


コクリと、私は小さく頷く。

一度言葉に出してしまえば、もう意地を張る必要なんてなかった。