もう時計の針は、夜の8時を指していた。



物音一つもしない。



リビングには、正座してケーキと睨めっこしているあたしだけ。




とても淋しい時間が過ぎていった。



目の前のケーキは、溶けだしていくロウを被り、泣いているように見えた。



ケーキも、悲しいんだよね。



誰も食べてくれないから。



それでも、あたしは待ち続ける。



もう3分の2ぐらいになったろうそくを、あたしはひたすら眺めつづける。