――5年前。


僕の家族は、父と母、そして弟と僕の4人家族だった。

父も母も毎日働きに出ていて、家族4人でのご飯は、月に2、3回程度。

それでも、生きていることだけが、嬉しいと思えた。


ある日、父も母も帰ってなかった。

僕の胸にふわ……じゃなくて、不安がよぎる。

ガチャリ。

鍵が周り、ドアの開く音が聞こえるのと同時に、2人の怒鳴り声も聞こえてきた。

「あなたがちゃんと働かないから」とか、「もうちょっとマシな飯を出せ」とか、汚い言い争いだった。

もしかしたら、僕たち子供が邪魔なのかもしれない。

布団に潜って考えていると、またもや2人の会話が耳に飛び込んできた。

「あの子た…………する…?」

声が小さすぎて、よく聞こえない。

「弟…ら…する…?」

何を、言ってるんだ……?