☆凜side☆



――――――……


住んでいた街から2時間弱、電車に乗ってやってきた。



これから暮らしていく新しい街。



あたしが降りる駅で、たくさんの人々が電車から降りていく。



辺りはとっくに暗くなっていた。



駅のホームに立つと、風が冷たく凍えそうなほど寒かった。



空から舞っていた粉雪は、いつのまにか止んでいたことに気づく。



あたしは人の流れに合わせて駅の階段を下りていき、



改札を出たところで、あの人の姿を探す。



会うのは何年ぶりだろう。



あの人だって、幼いあたしの顔しか知らない。



いまのあたしを見つけられるだろうか。



あたしだって、父親の顔なんてもうとっくに忘れた……



「凜……か?」