また旅客機が着陸する。

売店で買った缶コーヒーを飲み干して、倉城 翔也(くらぎ しょうや)は根気よく監視を続けていた。

入手した情報が本物ならば、今日中にアメリカからの便で一人の男がこの空港に到着する。

大物だ。

この辺鄙な榑市(くれし)に来るには不似合いなほどのVIP。

会談ならばもっと都会に訪れる。

観光ならばもっと風光明媚な場所に訪れる。

親善大使ならもっと人目のある場所に訪れる。

そのVIP…アメリカの政府関係者が、隠れるようにこの榑市にやってくる理由は何なのか。

キレ者の翔也でなくとも、大方の見当はついた。