「檸檬見て見て…… 」

ポカポカ陽気の昼休み。


親友の麗(れい)が窓ガラスを突(つつ)く。


フォークを片手に窓の外に視線を移す。



 「ねっ。 また修羅場だね。」

麗がポツリとつぶやく。


 また……。


そうまただね。


窓から見える中庭で、赤毛の彼はよく目立つ。

太陽の陽の光が彼を余計に目立たせる。



女の子が大きく手のひらを振り上げた。


 「あぶない!!」

つい叫んでしまう。

聞こえるわけないのに。
気付くわけないのに……。