【食卓にて】
(PM07:53)


―――バンッ!


飯を食っていた時のこと。

突然、廊下向こうの玄関扉が開いたと思ったら、ズカズカと喧しい足音がこっちに向かってきた。

カレーを食い終わろうとしていた俺等の前に現れたのは、「何してるんだよ!」ヒステリック気味の母親。


何してるも何も、飯を食ってるんだけど。

あんたの作った三日連続のカレー、食ってるんだけど。


何だか虫の居所が悪いみたいだ。苛々してる。

那智は母親の形相に身を縮ませてるし。


と、思った瞬間、母親が那智の腕を掴んで、床に投げた。

ベタンと尻餅つく那智は何が何だか分からず、「ふぇ…」泣き顔を作ってしまう。


幼い弟はまだ6つ。

こんな手荒な真似されたら、子供は誰だって泣きたくなる。

俺は急いで椅子から降りると、那智の体を抱き締めて何するんだと母親に抗議。


「部屋に行け!」


命令されたのはその直後。
足蹴りされたもんだから、俺は思わず那智をキツク抱き締める。


いっきりなり何するんだよ…、まだ時間じゃないだろ。


足蹴りされた箇所がすこぶる痛む。

痛みで顔を顰める俺に対し、「ううっ…」マジ泣き手前の那智はスッカリ怯え切っていた。

弟の泣き顔が気に食わなかったのか、母親は俺の腕から那智を引きずり出した。


んでもっていきなりビンタ。
乾いた音がリビングキッチン内に響いた。

那智は痛みにボロボロ泣き出すけど、何も言わない。恐くて何も言えないんだ。

身を小さく小さくしちまってる。