『10 ソラ』

人生にはモテ期が3回あるらしい。

「冬野先輩!好きです!」
「私もソラ君が好き!」
「今からどっちか一人に決めてください!」

台詞だけ聞けば俺は今、まさにその時なのだろう。

しかし片方は恐らく現役で自分の嫁をしている人だ。

自分の嫁の人が普段しない格好で俺に初々しい告白をしている。
いや、でもひょっとしたら嫁に似ている別人なのかもしれない。
声と目と「ソラ君」の発音が嫁に似ているだけの他人なんだろうか。

そんな存在あってたまるか。

もう一人の方も問題である。

普通に会社の後輩だがさっきから怖すぎる。
初対面にキレすぎである。
それとも初対面じゃないんだろうか。
初対面のふりして喧嘩しているのだろうか。

何これ?
ドッキリ?

こうなるとどこから手をつければいいか分からない。

今朝、カオスな自分の家から逃げてきて、昼休みにカオスな展開の渦中にいる俺。
神様、なんかの報いですか?

どこにやればいいか分からない視線を手元に落とす。
プレジデントの表紙と、分厚いヤンジャンの背表紙。

ポルナレフさん、今ありのまま起こった事を話してください。
少しは現状が整理できるかもしれない。
あ、でもウルトラジャンプじゃないからジョジョ載ってないや。
載っててもポルさんありのままに話してくれないか。

現実逃避はここまでにしよう。