入学式、桜が咲いていた。




正直言うと、綺麗だったかは覚えていない。

だって桜なんて見ていなかったから。








友達なんかいらない。

親との約束を果たせばそれでいい。










「華風ゆい」


「はい」










名前を呼ばれ、パイプ椅子から立つ。

歩き出し、校長の目の前で止まった。









面倒臭かった。

何もかも。




早く卒業したかった。

時間が早く流れたらいいのにと願った。









でも今はその逆で。



卒業したくない。

明日も普通に授業を受けたい。



そう思っている。







けど。

私は今日。















「卒業、おめでとう」















この高校を卒業する。











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