「ねぇ、エルみて」

空には満天の星が、自分が一番きれいといわんばかりにキラキラ輝いている。

「わぁ、お母さん、お父さん、とってもきれいだねぇ」

「そうだね。綺麗だね」


エルは空が大好きだった。

青い空も、キラキラと星が輝く夜の空も。

そのなかでも、エルは群青色の空が一番好きだった。
雲ひとつない、澄んだ濃い青色をみると、嫌なことがあってもすぐ忘れられる。
むしろ、気分がスカッとして楽しくなる。

「今日はエルの5歳の誕生日よ」

そう言ったお母さんの顔は少し寂しげだった。
お父さんの顔も笑ってはいるが、いつも嬉しいときの、あの顔とは違う。

エルは不思議に思うよりも、満天の星と誕生日の嬉しさで、そんな些細なことは気にならなかった。

「あ」

そうだったと言いながら、お父さんはポケットから何か取り出し、それをエルに渡した。

「誕生日プレゼントだよ」

それはまだ小さいエルには不釣り合いな、大きい丸い形のペンダントだった。

そのペンダントはエルの大好きな空の色の上に、星をちりばめたような模様が入っていた。

エルの青い瞳も、ペンダントのように、光輝く。