街のあちこちから聞こえる怒号と悲鳴。

人々は通りに溢れ、我が身可愛さに逃げ回る。

「早く!早く逃げて!」

数人の警察官が市民を避難誘導している。

その警察官とは別に。

「止まれ!止まれぇっ!」

拳銃を抜いた警察官が発砲する姿もあった。

だが警察官の所持しているのは、所詮ニューナンブという威嚇、或いは行動制止の為の威力の低い拳銃。

痛みを感じず、死すら恐れない屍の群れに何発撃ち込もうが、それは焼け石に水だ。

発砲しても止まらない死体の軍勢。

彼らは徐々に警察官達との間合いを詰め。

「ぎゃあぁああぁあっ!」

彼らを押し包んで餌食とした。

進行方向にいる者を全て食らい尽くす、軍隊蟻のように。