宿に帰ってから部屋で
祐希奈と二人で向かい合って座った。


「あのさ、仮に“仮に”
 あたしの櫛森に対する感情が『好き』だとするよ?」



『うん。』
祐希奈は眉間にシワを寄せていたが、
続けた。


「どうすんの?
 櫛森、彼女いるんだよね?」



『気にしてんじゃんww
 やっぱり好きなんじゃん。』


「“仮に”だょ?」



『いーかげん認めなよね。 いつになったら自分の気持ちに気がつくの?
 櫛森のこと好きなんでしょ?』



………本当は気がついていた。

……だけど気がついていないフリをした。

…だけど、その気持ちを誤魔化せなかった。

「好き…………かも。」


『“かも”じゃないの。
 “絶対”なの!』

「…うん。










 好き。櫛森のこと好き!」