部屋から出てたリリアは、背を扉に預けた。

──私が何をしたっての?

こみ上げてくるのは失敗したという思いよりも何故という疑問。

自分は完璧にやっていた。
勉強なんて個人の問題で、好き嫌いや努力で何とでも変わる。
それをやらないのはマリン自身ではないか。

当てのない怒りと共に背後の扉を一瞥すると、足取りも荒くその場を離れた。


使用人たちの詰所として与えられている部屋に入るなりテーブルにヘッドドレスを叩きつけた。

「全く! 何だって言うのよ! 私だって負けたくて負けてたんじゃないわよ!
私じゃなくてあんたの教師の余計なお節介でしょうが!」

「あ…リリア?どうしたの?」

同僚の子に声をかけられて初めて、部屋に居た全員の視線が自分に注がれていることに気がついた。

リリアは顔を真っ赤にし、慌てふためいてたたきつけて落ちたヘッドドレスを拾って付ける。
しかし残念ながら、それはあるべき場所から大きくずれていた。

プッ!

リリアの一連の動作を見て、誰かが吹き出したのをきっかけに部屋は爆笑に包まれた。