日曜日の午後に本を読みふけるのは、ずいぶん前からの俺の楽しみの一つだ。

だから今日もこの時間をゆっくりと満喫しようと思った。


けど、

「………」

膝の上に乗るこれに、どうにも意識を持っていかれて本に集中できない。


左手にあたる柔らかい感触。

俺はこれがかなり気に入っていて、色素の薄い猫っ毛の髪につい手が伸びる。


膝の上で熟睡されても嫌とは思わない、なんだかんだで甘やかしてしまう俺は、だいぶ天音に弱いらしい。


天音の髪に指を絡めながら思うのは、

初めてこの手触りを知ってから今日まで、自分自身でも驚くほどに積極的に行動してるという事実。