「私、長田さんの事が好きです。」


言葉とは裏腹に、睨むような視線が剛志を見つめている。


剛志は困惑したまま視線を落とした。


スラッとした足、細い手首、それなりに膨らんだ胸、白い首筋。


目の前にいるのは、一般的には美人の部類に入るだろう女生徒。


けれど視線は剛志を睨みつけているし、そのくせ今にも泣き出しそうな顔も見える。


「で…
俺にどうしろと?」


夕暮れ、遠くの空から夕闇が迫ってきている。


剛志は困ったようにため息をついた。


相変わらず睨まれているし、泣き出されても困る。


剛志は少しだけ視線を動かした。


この状況を仕組んだ、あいつがどこかにいるはずだ。


そもそも剛志がこんな状況に追い込まれたのは、一週間前のあの日が原因だった。



…−−−−−…