剛志はその日、朝からかなりイライラしていた。


昨日遅くまで起きていたせいで寝起きは最悪。


しかも起きていた原因の人物が、朝から妙にハイテンションだったのも気に入らなかった。


道で馬鹿な学生に絡まれ、朝から無駄な体力を消耗した。


おかげで憂さ晴らしにはなったが、剛志に絡んだ学生は今頃病院だろう。


交差点では飛び出してきたバイクにぶつかりそうになるし。


立ち寄ったコンビニでは、お気に入りのコーヒーが売り切れだった。


妙に赤信号に引っ掛かり、おかげで正門が閉まっていた。


仕方なく裏門をよじ登ったら、運悪く女子生徒に見つかって囲まれてしまった。


剛志は本当にイライラしていた。


「剛志、何をそんなにイライラしてるんだよ?」


中等部からの友人、飯塚陽太が明るく声をかけてきたが、剛志はシカトを決め込んだ。


「ひどいなあ…
せっかく剛志が読みたがってた本持ってきたのに。」


「それを早く言え!」