小野寺は振り向く。

さっき、遠くで爆発音が聞こえたような気がした。

何が起きたのだろう。

仲間の誰かが起こした爆発だろうか。

様々な考えが頭をよぎる。

…港で散り散りになってしまったみんなは無事でいるだろうか。

ゾンビの襲撃を受けて、単独行動を余儀なくされた仲間達。

そして協力して脱出口を探す事を拒み、自ら一人で行動する事を選んだ跳ねっ返りのお嬢さんと拳銃を持っていた彼…。

考え方が同じだろうと違おうと、全員揃ってこの島を脱出したいものだ。

この島を訪れた全員に、何一つ罪はない。

この島で生ける屍に食い殺される。

そのような無惨な死に方をしなければならない謂れなどは、これっぽっちもないのだ。

そんな事を考えながら、彼は歩いた。

荒れ果てた、警察署の内部を…。