学校を出た時には外は真っ暗で、街灯の青白い光だけが寂しく光っていた。
さむ……。
頬を刺すような冷たい風が吹く。
コートのポケットに手を突っ込み駐車場まで急いだ。
車に乗り、エンジンをかけて車内を温める。
エアコンから暖かい風が勢いよく吹き出した。
早く帰らないと……。
美雨がお腹を空かせてるかもしれない。
優香と電話を切った後は美雨のことで頭がいっぱいだった。
なぜ美雨のことが、こんなにも気になるんだろう……。
美雨の顔を思い浮かべただけで胸がドキドキして苦しくなる。
これは恋、なのか?
感情を表にださず、話すこともない美雨。
でも顔を見ると、子供のようなあどけなさがあり決して大人の女とは言えない。
もしかしたら、この学校の生徒よりも年齢は下かもしれない。
そんな子に俺は恋をしたというのか?
いやいや、ありえねぇだろ。
俺はロリコンじゃねぇし。
でも……でも……何なんだ……この胸を締め付けるような苦しみとドキドキは……。
その時、白衣からスーツのポケットに入れ替えた携帯がブルブル震えた。