16歳の春・・・。

 桜色に染まった川面を眺めながら、僕は一人、ため息をついていた。
目的も無く通う学校に、ほとほと嫌気が差していたからだ。元々真面目ではないが、グレている、というほどでもない、分類するのであれば、おそらく一番層の厚い、“普通より少しヤンチャな子”に分類される僕は、何の疑いも無くその他大勢と同じように、高校に進学した。
「ほんっとストレス溜まるわ、あの学校・・・。」

 確かにその他大勢と、同じように進学はしたが、レベルは少数派、しかも、下の方で。
それまで、授業をサボっただけで、問題児扱いされる様な学校にいた僕は、進学した学校では、毎日、カルチャーショックの連続だった。
 入学式では、体育館を埋め尽くすカラフルな頭髪、隣のパイプ椅子には、明らかに、自分で染めたと思われる、まだらな金髪のニキビ面に、何度も膝をぶつけられる。
明らかに敵意を持った態度に苛立ちを覚えながらも、視界の端で相手の顔を確認し、後は、無視を決め込む。

 授業が始まるようになっても、教室の後ろで何かの気体を、だらしの無い表情で吸い込んでいる始末。
 しかし、始めのうちは、そんな連中とつるむのも、悪くはなかった。だがひと月もしない内に、中身の無い付き合いに飽きてしまった。
表面上は仲間でも、少しのきっかけさえあれば、自分を優位な立ち位置に置こうと、常に互いを牽制し合う関係に、一年も経つと嫌気がさしたからだ。