私はあれから美世に圭吾さんの話をするのをやめた。

美世も圭吾さん・ウルフの話はしなかった。


でも私は誰にも言えない分、逆に思いを募らせてしまっていた。


あれから中間テストの時、ちらっと見かけたけど、圭吾さんはもともと学校にあまり来ない上に3年と1年では接点もなく、会えるチャンスもなかった。



人は特定の人を強く思いすぎると神に思えてくる。

神聖化してしまうのだ。

私はすでにその域に達してしまいそうだった。


誰にも言えず、会うこともない圭吾さん・・・


私が知った始めての≪好き≫は苦しくて切ないものだった。


恋ってもっとピンクでウキウキするものだと思っていたのに、私の恋はブルーで辛いものだった。