私は拳を突き上げて宣言したのに、5月の終わりになっても彼氏どころか、好きな人も出来なかった。


私は陸上部に入った。何でも普通の私だけど、走るのはちょっと早かった。中学時代は県大会まで行った。


専門は200m。カーブを体を傾けて走るのが私は好きだった。だから100mじゃなく200mだった。


今日も散々走ったのに、トラックにブラシをかける整備当番まであった。1年生は仕方がない。


今日の当番は1年の田野君・通称田野っちと黒木さん・通称クロちゃんと私の3人だった。2人ともクラスは違うけど、陸上部の中でも仲のいい子たちだ。


ブラシをかけながら田野っちが


「なあ、今日帰りに3人でなんか食って帰ろうぜ」

と言った。田野っちは面白くて、陸上部の1年のムードメーカーだった。


背がちょっと低くて、鼻がちょっと大きかったけど、私は明るくて人気者の田野っちが嫌いではなかった。ひそかに彼氏候補にしてもいいかなって思っていた。彼女がいないのもリサーチ済み!