教室までの道すがら、私は美世に聞いてみた。


「ねえ、ウルフって何?」


「はいー?何言ってんの?あんた、ウルフを知らないの?」

美世は知っているのが当然のごとく言った。


「え?なに?知ってなきゃやばい?」

やっぱり、私だけが知らないのかもしれないと不安になる。自分だけ知らないって、すっごい恐怖感じる・・・


みんなの知っていることを知らないってすっごい疎外感を感じる・・・


「あ?知ってなきゃやばいとかそんなもんじゃないね。知らなきゃこの街の住人じゃないね!ウルフって言うのは、3年の男子で、超イケメンなんだから!」

美世は立ち止って続けた。


「一匹狼で、暴走族とかには入ってないんだけど、喧嘩が強くて、負けたとこがないらしいよ。だから男子の間では恐れられてるんだけど、その強さとルックスの良さで女子には憧れ人なのさ♪めっちゃかっこいいんだ♪」


美世も少なからずウルフのファンのようだ。ウルフのことを話す時の目がハートになっている。