「こんな所を偵察させるとは……俺たちの指揮官は余程の変態らしい」
 男が大型の自動拳銃を持ちながら不平を漏らす。
 全くだ、とその場に居る全員が頷く。
 彼らは敵……東の国の支配下である廃墟に来ていた。敵戦力の偵察。それが彼らの任務、命令だった。
 角から角へと……大胆かつ慎重に移動していく。だが、誰も居ない。
「……誰も居ないな」
 大型の自動拳銃を構えながら男が言う。
「そのようだな。さっさと帰っちまおうぜ」
 男が自動拳銃を降ろす。
「いや、待て!」
 先頭に立っていた男が叫ぶ。