「ジナスが情報戦に突入した模様です」

 5000メートル級強襲戦艦〈ザカーエッジ〉の戦闘指揮所でオペレーターの声が艦長のコンソールに届く。

「城塞の稼働はどうか」

 艦長兼艦隊司令官のバンガ大佐はそのごろごろとした岩を転がすような声で訊いた。

「システムは安定しています。情報共有は保たれています」

 オペレーターの声が返ってくる。

「まあ、実際に運用展開してみないとこれ以上は確認できんか」

「そうですな、艦長」

 艦長席の隣にある仮設シートに今回の作戦の技術オブザーバーとして参加しているリユレイが答える。バンガに比べると線の細い声だ。

「ふむ、時間だ。作戦開始」

「了解。全艦に通達、作戦を開始せよ」

 こうして静かに艦隊が行動を開始した。

 まずは探査プローブを満載した戦闘偵察機が2編隊、ザカーエッジから発進して行く。

 猛加速した各機はそのまま予定宙域にSDDイン。低次空間へ瞬間的にダウンロードされた。

「艦載防衛兵器群展開、そろそろ敵さんも気付くぞ。SDDアウト現象に注意」

 艦載防衛兵器は粒子ビーム砲とレーザー、レイルガンで構成された小型の浮き砲台だ。小型と言っても、1基は全長20メートルほどはある。