それは突然起こった。

 城塞システムにマウントされたジナス以外の全艦艇が無数のデブリに襲われている警報を発した。

『ベイグ、何が起こっているの』

 スラッドの冷静な問いに、ベイグは少し考えて答えた。

『これは明らかに、サイバーアタックよ。ファイフウ内の艦載機からも警報が出ているわ』

 ベイグは全排障システムへの介入を躊躇った。

 これは、罠か、それともブラフか。

 だが、このままでは、本物のデブリが来ていたとしても対応出来ない。

 大型の艦ならばシールドと通常火器で対応出来るだろうが、戦域にはまだ多数の艦載機がいる。

 しかも、プラント艦の爆縮の反動で無数のデブリが実際に飛び交っている。

 躊躇っている暇は無い。

 ベイグはスラッドに罠であった場合のバックアップを依頼し、認識されている全排障システムに対して、情報空間からOSの再インストールを行った。