小惑星帯に深く侵入したザカーエッジは、その先に、全長300キロメートルのプラント艦を捉えていた。

「目標まで、1光秒」

「よし、ハイジェルマン粒子砲1番2番起動。パージ開始」

 バンガの指示により、艦上面の左右両舷にマウントされていたハイジェルマン粒子砲の爆発ボルトが作動。ゆっくりと全長1000メートルのハイジェルマン粒子砲2門が艦体を離れ、力場固定された。

 砲内の重子加速器がゆっくりと重子の加速を始める。

「敵防衛兵器展開確認」

 小惑星群に隠れて配置されていた無人戦闘ユニットによる防衛艦隊がザカーエッジに反応して、動き出してきた。

 バンガは過去のプラント艦攻略の嫌な記憶がフラッシュバックした。

 あの時のプラント艦は資源が続く限り無人戦闘ユニットを生産し続け、撃破しても増え続けた。

 増殖する戦闘ユニットを駆逐し尽くして、ようやくプラント艦本体を撃破するのに、基準歴で5日を要した。

 プラント艦を叩くには、この分厚い無人戦闘ユニットの層を破らなければならない。

 その為に、バンガは今回の作戦に強襲戦艦であるザカーエッジを選んだのだ。

「ハイジェルマン粒子砲1番2番共に臨界まで5分。有効射程まで5分30秒です」

「積層空間シールド展開、全艦載防衛兵器群は排障に専念せよ」

 バンガは、改めて、指示を飛ばした。

 敵戦闘ユニットの一斉射撃が始まる。