ゆっくりと静かにそれは低次空間からアップロードして来た。

 銀河帝国軍第7航宙艦隊第37遊撃艦隊所属ジナス級電子戦艦1番艦〈ジナス〉は、即座に天測し、航法推論座標との誤差を修正。現在の座標を確定した。

「アルフ・アレフ星系外縁確認。対探知フィールド展開します」

 オペレーターの女性士官の声が艦橋内に響く。

「空間衝撃波の減衰率はどうか」

 艦長席から深味のある女性の声がする。

「1光秒で探知限界以下です」

「よし、城塞を展開。本隊をお迎えする」

「了解」

 ジナスが管理する情報空間に、ジナスの誇る城塞と呼ばれる防壁が展開し、情報空間内のシステムを外敵から完全防御した。

 城塞が展開を終えると同時に、次々とプレダウンドライヴアウト現象が観測され、艦隊各艦がアップロードしてきた。

 現実空間と同期して情報空間においても、各艦の情報高密度体がマウントされる。

 旗艦である強襲戦艦〈ザカーエッジ〉を中心に航宙母艦〈ファイフウ〉、主力巡洋艦〈カルゼル205〉〈306〉〈525〉の5艦が全て城塞内にマウントされ、全艦の低次空間からのアップロードが完了した。