6月の末。

期末テストを2週間後に控え、放課後になると私は学校の図書室に訪れて勉強していた。


少し早めにテスト勉強を始めるのには、ある理由があった。

それは、どうしても次のテストでは良い成績が取りたかったから。



高校の勉強は中学校の時とは違ってやっぱり難しくて、ついていくのがやっと。

中間テストはお世辞にも良いとは言えない成績で、先生からは「兄を見習え」と言われてしまった。



昔から私はお兄ちゃんと比べられることが多かった。


お兄ちゃんは優秀だから、妹の私まで期待される。

でも、私はお兄ちゃんみたいに優秀じゃないから、周りの人たちは失望したように私にこう言う


"本当に亮佑の妹なのか"

"全く似てない"


そう言われるのが辛くて、悲しくて、…なにより、お兄ちゃんが恥ずかしい思いするんじゃないかって思うと、すごく怖い。


だから、この期末テストでは前よりもっと良い成績を取ろうと思った…。



…でも、やっぱり勉強は難しい。

教科書を読んでもさっぱり理解できないことだらけ…。


「はぁ…」と、思わず溜め息が零れてしまう。



先生に質問しに行こうかな…。

そう考えて、私はすぐに頭を振った。


先生には訊きに行けない。

以前訊きに行った時、先生に「兄貴に教えてもらえばいいだろう」なんて言われてしまった。


そんなことできないから先生のところに行ったのに、そんな風に言われてしまったらもうどうすることもできない。

その時の出来事を思い出して私はまた溜め息を一つ零した。