立ち並ぶ高層ビル街

幸せそうに通りすぎるカップルを尻目に世の中の不幸を全部背負いこんだ顔した男が手すりに手をかける。

「田舎のお父さん、お母さん…先立つ不幸をお許し下さい。僕は生きていく事に疲れました」

23世紀も間もなく終わろうかって頃になっても自殺する前の儀式としてここの部分は昔から変わらない。

手すりから身を乗り出し下を見る。

下を走るのはJRの線路…

「コイツに飛び込みゃ確実に死ねるけど…」

ちょっと不安で躊躇してると

「アレに飛び込んだら死体がぐちゃぐちゃのミンチになってハンバーグ食えなくなっちゃうにゃ」

「その前にJRからどっさり賠償命令が来て残った家族は一家心中やね」

なんて声が聞こえてきた。