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翌日。

学校休めば良かった……と、教室に入った瞬間に思った。


「結城さん!! 結城さんって、犬飼くんと付き合ってるの?」


ファミレスで犬飼くんと一緒に居た女の子たちじゃない、別の女の子たちが群がってきた……。

犬飼くんはまだ来ていないから、みんな堂々と聞いてくる。


「えっと、付き合ってないよ」

「でも昨日、すっごく仲良さそうだったじゃん?」

「そ、そんなことないよっ……」


もー……次から次へと、同じ質問ばっかり……。

おまけにみんな同時に話しかけてくるから、うるさいし、訳がわからない。


……そんな私のところにやって来たのは、意外な人物だった。


「結城さん」


女の子たちが騒ぐ空間に響く、村雨くんの透き通った声。
全員の言葉がピタッと止まり、全員の視線がそっちに移る。


「……あの、少し二人で話しませんか?」

「あっ、うん、わかった!!」


女の子たちの視線に、村雨くんの顔は強張っているけれど、でも、村雨くんが来てくれたおかげで助かった!!

そのまま私はなんとか教室を抜け出して、村雨くんと二人で、廊下の端へとやって来た。


「助かったぁ……ありがとう」


犬飼くんも青山も来ていなかったから、本当に助かった。


「困ってるんじゃないかと思って来たら、本当に大変そうだったね……。
渉たち、もう少ししたら来ると思う」


教室のドアからこっちを伺ってる女の子たちを見ながら、言葉を続ける村雨くん。


「渉がこれから言うことを、受け止めてあげて欲しい」

「え?」


……これから、言うこと?


「村雨くん、それって……」


どういう意味? と聞こうとした時、廊下の向こう側から一直線に向かってくる青山が見えた。


「結城!!」


朝から、声がデカイ……。

その隣には犬飼くんが居たけれど、青山とは違ってそのまま教室に入っていった。

ズンズンと近づいてくる青山。
すぐ目の前まで来て、私の手を握る。


「やっぱり俺と付き合え」

「はい……?」


な、なんなのこれ……青山、おかしくなっちゃった?
元々少し変わってる奴だけど。

でも、なんで急に「付き合え」なんて……。