目がチカチカしていたが、警察手帳は何とか取り出せた。

「え!そうだったの!?」

男の声は明らかに狼狽していた。

「いやーすみません!」

ようやく視界が戻った。

あたしの目の前で申し訳なさそうにしていたのは、デカいストロボがついたカメラを持った1人の男性だった。

年の頃は50ぐらい。背は低い。絶対に160は無いだろう。

そして上下ともにピンクのジャージ姿。

ただのピンクではない。

とても濃い、どピンクである。

一体どこのメーカーだろうと邪推したくなるほどキツイ色。

まさか鳥海夫妻の店で買ったんだろうか。

しかし何よりも目をひいたのはその髪型だった。

白髪まじりのそれは、尋常じゃないぐらいモジャモジャで、あと一歩踏み込めば天然アフロに突入といった感じ。

おまけに鼻の下にチョビ髭をたくわえ、目はショボショボと小さい。

一度みたら忘れない、良く言えば個性的・悪く言えば…な容貌の持ち主であった。