ケータイ小説 野いちご

月と太陽の事件簿15/人形はなぜ捨てられる

9月7日・8日

警視庁には食堂がある。

取り調べの定番メニューであるカツ丼もあるが、実際の取り調べの際、刑事が取り調べ相手にカツ丼をおごることはない。

供述を誘導したと、裁判で問題になるからだ。

ちなみに一番の人気は、盛りソバ(¥200)。

理由は「早いから」。

刑事ってのは何気に忙しい職業なのだ。

そしてあたしの目の前で今、達郎がその人気メニューの盛りソバをすすっている。

今は昼時だからソバをすすることに問題はないのだが、実は警視庁の食堂は一般人には開放されていない。

だが達郎に限って暗黙の了解があることは説明不要だろう。

「N県警から協力要請があったんだってな」

ソバを食べ終えた達郎が口を開いた。

「県警本部長から直々に電話があったわ」

あたしは本部長の恐縮した口調を思い出しながら言った。

「先日の事件について意見を聞かせてもらいたいそうよ」

遺体発見から3日がたっていた。


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