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雪花-YUKIBANA-

第三章
ミドリが求めたもの



恋――


僕たち兄妹の関係を、まるで恋だと初対面の男は言った。


まさかねと思いつつ、そっと自分の心に問いかけてみる。

僕は、彼女が好きなのか?


けれど、そんな甘酸っぱい迷いを吹き飛ばしてしまうくらい、

日々は急速に過ぎていった。


桜の木が深緑の葉をたずさえ、5月を迎えた。


新大学生の女の子たちが、そろって面接に来てくれたのは、ラッキーな出来事だった。


若さが店に活気を呼び戻し、

そして客も呼んだ。


売り上げは日に日に伸びている。


僕はもう給料に頭を悩ませる必要はないし、

店がつぶれるんじゃないかなんて、心配する必要もない。


こうなると、とたんに恋でもしてみたくなるのが世の男の常だ。



けれどそれは、

あれこれ迷ったり
今さら悩んだりする恋愛じゃなくて、


もっと明確で、単純な恋のことだけど。





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