「あのさ。 いい加減にしてくんない?」 本のページをめくる音しか聞こえない静かな図書館。 その静寂が迷惑な大声と、オレの机の前にバン!と大きな音をたててつかれた手とによって、遮られる。 何事かとこちらを見る人の気配。 当然隣に座る佐藤さんも、オレの机の反対側に立つ人物を何事かと見上げている。 にもかかわらず、オレは動揺にも近いささめきの中、平然と調べ物を続けた。