「まだ、帰ってこないのか・・・?」


夜の9時を回っているのに、王子が帰ってこないのだ。
しかも、大雨で雷も鳴っていて悪天候なのだ。


「9時を回っているのに、何処に出掛けているんだよ!!」

と、その時・・・






“ピシャーン”







この周辺に雷が落ち、城の電気が消えた。


「えっ!?もしかして・・・停電?」


声を震わせながら、怖がる美咲。そう、美咲は1人で暗いところにいられないのだ。
すぐ近くにあった、王子の机の下に潜った。
体を震わせながら指で耳をふせぎ、目から涙をこぼしながら目を強く瞑っている。





“トントン”




「キャッ!!」


いきなり頭を撫でられ、びっくりする美咲。
目を開けるとそこには・・・



「美咲ちゃん、大丈夫・・・?」

「た・・・拓海・・・」


泣きながら王子の名前を言う美咲。よっぽど怖かったのだろうと、王子は思った。
体を震わせ、泣いている美咲に王子が“ギュッ”と抱きしめた。



「・・・拓海?」

「もう、大丈夫だよ。美咲ちゃんが落ち着くまでこうしているから」

「ありがとう・・・」




この時、美咲は自分が王子のことが好きだと気づいたのであった。