一時間後、僕とジョージ、ターミーはホテルの最上階のバーのカウンターに居た。


海に浮かぶセブの夕日は、まだ半分その姿を留めていた。


「綺麗だなぁ」


僕は、陸に向かってオレンジロードを差し出す太陽に感動していた。


「沈みたくないみたい」


ターミーが言った。


「明日になればまた昇ってこれるんだから。代わりに夜を待って現れる月は、どれだけ輝きたくても太陽が支配する昼には空でその姿を競うことは出来ないのさ。いくら美しくてもね」


ジョージがひっそりと言った。


「じゃあ、昇る月に乾杯だ」


僕は二杯目のフローズンダイキリを、ジョージのビールグラスにぶつけてそう言った。