クルマの中ではボリュームをおさえた静かな音楽がかかっていて、私はうつらうつらしていた。

「……店、着いたぜ」

声をかけられて、初めて眠ってしまっていたことに気づいた。

「あ…寝てたんだ、私…」

「すっげぇ気もちよさそうに眠ってたぜ? まぁそれだけ、俺の運転がうまいってことで」

「はいはい」と、うなづく。

「だけど、気もちよかったのは本当だし。今日は、海とかつれてってくれて、ありがとうね」

お礼を言うと、「いいって」と、銀河はやや照れたように口にして、店に入るよう促した。

エントランスの大階段を銀河と共に降りると、「ようこそ」と、流星と三日月と天馬が出迎えてくれた。