私の彼はプログラマー。
朝から晩までパソコンのモニターを眺め、キーボードに触れている。
その眼差しは実に愛情に溢れ、触れる指はやさしくソフトだ。
少しでもパソコンが汚れていれば“超強力パソコン専用ウエットティッシュ”で、新品の頃の輝きを取り戻してあげるのだ。

彼はパソコンが大好き。

約11時間、職場でパソコンと楽しくお仕事をして家にかえる。
そして真っ先に、自宅のパソコンの電源に手が伸びる。
さぁ、今度は君だ、と言わんばかりに。

コンピューターは万能だ。何だって作れる。分からないことは教えてくれる。見たいものは何でも見れる。聞きたい音楽だって手に入る。性欲だって画面に移る女が好きなだけ満たしてくれる。画面の向こうの名無しさんと会話だってできちゃう。
だから大好き、パソコン。

私は、そんな彼と共に暮らしている。
私は、そんな彼の背中を眺めて生きている。

彼の感情は、たたくキーボードの音が代わりに教えてくれる。
ケンカをした後の音は、バキバキとうるさい。
ご機嫌な時はタカタカとリズムを刻む。

もっとこっちを
みてくれればいいのに。