保健室のドアをガラガラと開けたら、中は無人だった。

「チェッ。保健の先生いないや」

「諦めて帰りましょう?」

と女子は言うけど、せっかく来たのにそれは嫌だ。

「勝手に使わせてもらおう」

「そんな事して、怒られない?」

「構うもんか。治療が優先。そこに座って?」

俺はモジモジする女子を丸椅子に座らせ、バッグを置いて薬品棚の物色を始めた。

消毒液と、絆創膏…と思ったが、傷の長さに合う大きな絆創膏が見当たらないので、ガーゼと包帯を棚から取り出した。

それらを持って女子を振り向くと、女子は俺のバッグに何か話し掛けていた。