あれは二年前の事―。


「……カノゾ??」

「ううん、彼女」


深晴の衝撃的な言葉に、俺はクソみたいなボケをかましていた。


「出来たってお前…だって俺ら…」


俺は、深晴もシンの事が好きだと思っていた。

だからそんな報告を急にされても「はい、そ~ですか」なんて信じられるわけない。

相手はクラスの大人しめな子で、確か早川と言った。

数回話した事はあるが、特に印象は無い。


「早川さんから告白されてね。で、ちょうど良いかなって…」


ちょうど良い?

頭に「?」を浮かべる俺を知ってか知らずか、深晴はニコッと笑うと、自分の部屋に行ってしまった。

一人リビングに残された俺は、クッションを抱えながら考えた。

もしや深晴は俺に気を使ってる?

それは大いにありえる。

深晴はバカみたいにお人よしだ。

でも、辛そうな素振りは一切なかった。


「……ん~っ」


よくわかんねぇ…。

けど、俺ってばチャンスじゃん。