煌々と照り付ける陽射し。
 流れる雲を避けるでもなく、時折遥かな空を通り過ぎ行く航空機群。
 超高層建築に囲まれる中に、ビビットな緑色の芝生と木々が拡がり、その木陰のベンチに涼む女性。
 噴水は水の弾ける音を奏で、彼女はその心地良い響きの中、一冊の本を開いていた。
 以前には、ブロンドだったろう髪の毛には微かに白髪が混じり、優しい風にふわりと揺らめく。
 彼女はパタンと本を両手で閉めると、徐々に姿を変える噴水に目を運ぶ。

 初老の彼女こと シャーリィ・ウッドソン が一人の少年と出会ったのは、ごく有り触れた日常と何等変わらない、ある日の午後であった。