ロベリアと千鶴の前に立つ黒き鎧の妖魔。

「姉さん」

ジャスミンはロベリアを見つめる。

「曇る瞳に真実あれど、今の私はロベリア」

「何で、何で戻りたくないの?」

嘆きの声でロベリアに訴える。

「記憶を戻すから、一緒にいようよ」

ジャスミンの意に納得できず、ロベリアは首を振った。

「過去の星の輝きも、現在の星の輝きも、変わる事はない」

記憶があったとしても、信じる物は変わらない。

「信じない、信じない!」

両手で頭を抑えながら、屈み込む。

「ジャスミン、何か、いい方法があるよ」

「あなたはいいわよねえ、お兄さんと理解しあえて。ねえ、千鶴、あなたをズタズタにすれば、私の中にいるお兄さんは悔しがるかな?」

決意を表すかのように手に光の刃を纏いて、立ち上がる。

「宝物の輝きは失わせない」

しかし、ロベリアが千鶴の壁となる。

「姉さん、どいてよ。怪我させたくない」

「世界は変わらない」

ロベリアはジャスミンの行為が気に入らず、睨んだ。

「そんな顔、しないでよ」

涙を流すかのように、雨が降り始める。