歩き続けているが、ゴーストタウンのように人の気配がない。

俺の姿がまともでないから、辺りに隠れているだけか。

情報では猛者達がいると聞いていたが、どうなのか。

ロベリアの肉体が気になるから、どこかで休ませたいところだ。

周囲には抜け殻のような雨の後と埃まみれで汚れた家。

遠方には四つの大きなビルが見える。

多分だが、ビルならば設備は整っているだろう。

しかし、四つもあるのなら、どこにするべきか。

何の情報も持っていないのならば、どこに行っても同じだ。

「落ち着いて考えるんだ」

お吟さんは広目として、呼ばれていた。

広目という名が広まっているという事は、権力はあったという事だ。

権力者であるのならば、ビルの一つを所持していてもおかしくはない。

お吟さんがビルにいればいいのだがな。

「とにかく、向おう」

『王子様、前方に気配あり』

「こんな時にか」

ロベリアを地面に置き、構えを取って周囲に気を配る。

どうでもいいような何者か。

それとも、敵なのか。

前方にある家の影から、何者かが出てくる。

俺は目を疑った。

人間ではない。

だからといって、変鎖を解いた妖魔でもない。

人間に黒い鎧を身に纏った、半妖チューナーだった。

俺がラインの研究所から日本に帰るまでは時間があった。

その時に手術を施したのか。