ある朝のこと。


ガラガラッ

「?」

いつもは誰もがノックするはずのドアが、ノック無しで開いた。

「あ、ノック忘れてたぁ〜」

そして、見たこともない人がいた。

「こんにちは…八乙女 珀」

「あ…の、どちら様ですか?」

「あんたは知らなくていいのよ。ったくかわいこぶって…だから珱平も誘惑されんのよ」

「珱平の…お友達さんですか?」

「はぁ?珱平?馴れ馴れしく呼ばないでよ。はるは、珱平の彼女だし」

彼女…?
彼女さん…いたんだ…
何故か心が強く痛んだ。
この気持ちに、私は気付かないフリをしていた。
でも、やっぱり芽は、ゆっくりとのびて…蕾になる。

何をしなくても、育つ…
もう、名前をつけるべきかな?

でも、名前をつけたら…ここで終わりを告げなきゃならない。

彼女がいるんだから…