【梨音side】






「…中学生の頃、当時憧れてた2コ上の先輩に告られて、付き合ったんです。」







少しずつ、思い出しながら話し出す。









本当は思い出したくもない、嫌な思い出のはずなのに、何故だか宮崎先輩に話し出している自分がいた。









「デートして帰る前に公園で話してたら、その付き合ってた先輩にいきなり体を触られたんですけど、抵抗したんです。



そしたら違う知らない男の先輩も突然私の隣に座って触ってきて。」










宮崎先輩は私の頭を撫でるのをやめ、真剣に聞き出す。









「結局逃げ出したんですけど

付き合ってた先輩は、ただ、かけていたんです。

どちらがあたしとヤレるか。」









冷たい風が、頬をくすぐる。










それは、あたしを馬鹿にしているかのように。











「……その時は走って逃げれたんですけど、そのまま男性は怖くなってしまって。」








今まで黙って聞いていた先輩が隣でマフラーを巻き直しながら突然口を開く。







「…ね、手寒くない?」








「え、はい?」








確かに手は氷のように、冷たい。









するといきなり先輩があたしの手をとって自分の手に重ねた。