「怖くなったんでしょ?
自分のせいで、本当に先輩が死んじゃって。」

ゆっくりと、さゆりちゃんが柵を離れた。

「だから、今私の背中を昨日みたいに押すのをためらった。」


気付くと、さゆりちゃんが私のすぐ隣に立っていた。

見たこともないような、美しい笑顔で。

私は“さゆりちゃん”を避けるように、近くの柵に寄り掛かった。


「逃げなくても良いじゃない。
私はほたるちゃんみたいに、押したりしないから。」